資産形成が利回り4%では死ぬまで働く必要がある

資産形成をのことを考えた場合、目標金額を定めるだろう。その際に、年間の想定利回りを考えていくらまで資産を積み上げたほうが良いのかをはじき出すことになる。この時、安全にといって4%とか6%とかの利率を設定する話をよく耳にする。しかしそれでいいのだろうか。低い利回りは達成の確実性がぐんと上がるが、その分必要な資産は多くなる。年収1000万円を想定するのであれば、2億5000万円の金融資産が必要になる。さてここで問題が発生する。どうやってその資産を如何にして獲得するのかである。仮に利回り4%で資産運用をしていたのならば、金融資産300万円からスタートしても115年かかってしまう。大変なことである。賢明な人は毎月積み立てを行うだろう。しかし月10万円の積み立てを行うとしても57年かかってしまう。これではFIREムーブメントには到底乗ることはできない。FIREとはFinancial Independence, Retire Early:経済的に独立して早期退職」である。つまるところ、このプランは投資以外の手段で資産を形成できた場合のプランなのである。

投資で資産形成することを前提に年利4%前提のプランを立てたのであれば疑問を持つことになる。年利20パーセントを叩き出せる力があり、資産も十分にある環境でその力を発揮せずに4%の利率になぜ甘んじているのかということだ。高い利率を維持していればそれだけ資産は増えるのだし、同じ年収を確保するにしても資産の目標金額を低く抑えられるからだ。もちろん投資は仕事のような側面もあるので、目標金額を達成してからは少しペースを落としたいという要求はあるだろう。しかし、投資で財を成したのであれば(博打のような投資は問題外である)4%を超えることは難しくないと想像する。バフェットが生涯現役であるように、地に足の着いた投資戦略を身に着けることが出来たのであれば、時代に左右されずパフォーマンスを維持し続けることが出来るはずだ。

そうすると2億5千万円をどのように手に入れるかという問題が変化する。年利何パーセントの利益を出せるだけの投資の実力を手に入れる必要があるかということが重要になるのだ。この数字が大きいほど資産形成のスピードは速くなるのと同時に目標金額も下がる。では、どの程度を目指せば問いかはすぐにはわからないので、シミュレーションを行ってみた。シミュレーションの設定は

  • 初期資産:100万円
  • 毎月の積立:5万円 又は 10万円
  • 目標年収:1000万円

とした。毎月の積立はかなり頑張っている。 資産運用の利回りは4%、10%、20%、40%、60%、80%を用意した。 左が資産の推移、右が収入の推移である。 f:id:kakibara:20200121034513p:plain 積立金額月10万円バージョンがこちらである。 f:id:kakibara:20200121034543p:plain さて、こでこのグラフの見方だが、資産形成後も運用利回りを維持し続けるのであれば右のグラフの目標収入に到達するまでの年月を見れば、各利回りでの目標到達年数が分かる。 資産形成後の運用利回りが決まっているのであれば、総資産金額が目安になるので左のグラフを見ればよい。 注目すべきは、毎月10万円の積み建てを行っていても年利が4%であれば、半分の積立しか行っいない年利10%運用に負けてしまうということである。5%から10%は投資の入り口の勉強で何とか超えたい数字であると思う。年利が20%を超えたあたりから毎月の積立金額による差が出にくくなっているのも注目するべき点である。これは、年利20%以上を目標にするのであれば、資金をねん出するよりも勉学に励んで投資スキルを身に着けたほうが費用対効果がはるかに高くなりそうであることを示唆している。特に資産のない初期の五万円と10万円は生活に大きな差が出るギャップである。苦労した分報われてほしいが、このグラフの肝は広範になるほど成長率が高まっているところである。資産形成は早く始めたほうが良いが、投資スキルはお金をかけてでも早く身に着けたほうが得であることを示唆している。 参考に、年利4%運用10万円積み建てと年利10%運用5万円積み建てを比較したグラフをお見せしよう。このレベルの利回りの差でも積立金額の差が霞んでしまうインパクトがある。 f:id:kakibara:20200121034031p:plain さて、ここからが本題である。投資スキルを手に入れたのであれば少しペースを落としたとしてもまずまずの成績を収めつつリタイア生活が送れるのではなかという設定である。この設定でシミュレーションを行った。 ここで、資産形成後は年利が半分となるが、最低でも4%は得られるとする。すると目標4%の時と比べて達選偃月に以下のような差が出てくる。

  • 4%: 58年 -> 58年
  • 10%: 34年 -> 31年
  • 20%: 22年 -> 17年
  • 40%: 14年 -> 10年
  • 60%: 12年 -> 7年
  • 80%: 10年 -> 6年

80%を維持するのは相当難しいであることは置いておき、20%や40%の部分でも達成年数に大きな差が生まれていることがわかる。つまり、一時的な投資スキルでなく、長期的に通用する投資スキルを手に入れることが出来たのであれば、資産形成終了までの時間が短くなるということだ。ここから後は、何年待つことが出来るのかということと、初期資産として何円積めるのか、自分のスキルはどこまで伸ばせそうかということを勘案して目標を定めたらよい。高い利率を目指すと投機に走りがちであるが、それは避けるのは賢明であろう。決してギャンブルは行わず、堅実に投資を行うことがないよりも大切である。

以上により、感覚的には当たり前であることを数字とグラフで示すことで、その大切さを確認することが出来た。積立金額が倍も違っていてもそこそこ運用成績が高ければ、そのパーセンテージの方が重要であることをグラフにより視覚的に捉えられたのもよかった。資産形成したてでは、とにかくキャッシュを増やすことに専念してしまいそうにあるが、急がば回れスキルアップに重点をおいていきたい。